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同じこと

気付けばまた同じ蔦に絡まっていて、今度これを振り払うには火を放つしかないようで、煙る庭を一人歩き出せるのかと考える。

2018.03.25 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

波の上

じっと吐き気を逃しているうちに眠りに落ちて、何度も短い夢を見て、放心。君が夢の中でわたしにありがとう、と言う。

冬の朝は夜との境目が曖昧で、目を開けても光は差してなくて。ずっと夜のまま。

2017.12.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

まぼろしとの付き合い方

よく通った道をなぞって、かつての待ち合わせ場所で昔の君を待っていた。今の君に連絡できるはずもなく、約束はしていなくて、でもどうしても会いたかった。

2017.10.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

外出の範囲

一人で出掛けたとき、一緒にいた誰かと別れた帰りの電車の中でふと頭を過ること。
最寄り駅で降りなかったら、このまま電車を乗り継いで行ったら、わたしのことを誰も知らない街、わたしの知らない街へ降りたなら、どうなるんだろう。
本当はそうやって生きていきたかったのだろうか。じゃあ何故そうしなかったのか。出掛けて、帰るまでという時間は一体どこまで。

2017.08.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

写真をテーマにした短編

名古屋の某文芸イベントに応募してみようと、1時間ほどでわーーっと書いたフィクションです。残念ながら応募資格なし。


実家から歩いてすぐのバス停から、久しぶりに市バスに乗ってみる。学生の頃はこのバスでよく栄に遊びに行った。乗り込んですぐ、わたしの大きなお腹を見て小学生くらいの男の子が一人がけの席を譲ってくれた。ありがとう、と言ってぼんやりと座っているうちにバスは弁天通を過ぎ、筋違橋の交差点あたりから座っている人も立っている人も、なんとなく窓の外の遠くを見始めるのを感じる。今まで両側に立ち並んでいた背の低い民家や商店といった景色から一転して左側はお堀、車窓は広い空と桜並木とでいっぱいになる。ウエスティン名古屋キャッスルの前を過ぎると、お堀の周りを歩く人々が向けるカメラの先に、小さく名古屋城が見える。金色の鯱をちょこんと乗せた青緑色の屋根は、桜に映えて一層明るく見える。多くの人が乗り込んで普段より停車時間が長くなる樋ノ口町一丁目のバス停から、そろそろ見えてくる『お堀で魚釣りはできません』の看板のことを思う。この看板の横を通るたびに、思い出すことがある。
小学生の頃私は夏休みに書いた読書感想文で大きな表彰状をもらった。全校集会で表彰されたんだよと得意げに話す私に父は「俺も全校集会で名前呼ばれたことあったな。」と小学生のときの話をしてくれた。何か自慢でも始まるのかと思いきや、名古屋城のお堀で友達と釣りをしていたのが見つかり、こっぴどく怒られたという話。「わざわざ全校生徒の前で怒らんくってもよぉ。」と当時を思い出して笑いながら話す父の顔を見つめても、悪ガキには見えないどころか小学生の父が想像できなかった。
桜が散って、道路もお堀の水面も境目なく覆っていたはずの花びらが全部風に吹かれて、名古屋城の屋根よりももっと眩しい新緑がお城を囲む頃には、お腹にいる子が生まれる。私は母になって、父はおじいちゃんになる。東京で私と赤ちゃんが戻ってくるのを待っている夫は、父になるのだ。

2017.08.02 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

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プロフィール

kito yukari*

Author:kito yukari*
NATURA CLASSICAで撮る、日々。

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